麺に関わる情報・リポート・論文の専門誌
第3号 『沖縄そばへ麺そーれ』(西表 宏)より抜粋
 「沖縄そば」は具をのせることで名称が変わる。一般に、かけそば的な単なる「沖縄そば」は、具は豚肉のバラ肉一枚とカマボコ二つがのり、ネギがかけられているものが定番で、これが基本的形である。
 この基本形に具をトッピングすることで、色々なそばに変身するのである。トッピングの最初の工夫は、『ベーラーそば』の卵のヒラヤーチーであるという記録が残されている。(注4)
 そして、1975年、沖縄海洋博覧会のころ、名護で登場したのが「ソーキそば」である。豚のあばら肉を甘辛く味付けたソーキがトッピングされた逸品である。それ以後、何をのせても良い、という風潮になった。例をあげると、「中味(豚の贓物)そば」「テビチ(豚の手足)そば」「野菜そば」「ユシドウフ(オボロ豆腐)そば」「烏賊墨そば」「フーチバー(蓬莱草)そば」などなどである。このように、ソーキがのった日から、「沖縄そば」はトッピングの自由度が広がったのである。まさに、チャンプルー文化の面目躍如である。
 地域型そばの「八重山そば」は、具は、醤油で甘辛くした豚肉とかまぼこを短冊状にしたものがのっている。薬味は、ピパーズといわれる香辛料。これは沖縄本島のコーレーグースー(高麗薬=唐辛子)よりもスパイシーである。
 変わり種は「宮古そば」だろう。具が麺の下にもぐっている。外見上は、そばだけが盛られているように見られる。面白い盛り付けで、島の人の質素な暮らしぶりを垣間見せる食習慣である。

(中略)

 最後に、そばのだし汁についてひとこと。
 「沖縄そば」の麺が千差万別であるように、だし汁もまた一筋縄ではいかない。店により家庭により、さまざまな味があり、そばの一言居士が多くおり、専門家顔負けの評論が展開される。それだけに、お店も負けないように次から次と精進研究に余念がない。
 だし汁の基本は、丁寧にアクを取って煮出した豚骨だしに、鍋を覆いつくすほど入れた鰹節でとる。だし汁が澄んでコクのある、しっかりした旨味がでるのはそのせいである。「スバは、だしけーむん」という言葉は、手間暇を惜しまず丁寧にだし汁を作りなさい、という教えだろう。
 昆布の使用量日本一は、皆さんの知るところだが、実は、鰹節・削り節の年間購入額購入量も日本一なのである(注5)。
 「デージ マーサヌ ウチナースバ(大変美味しい沖縄そば)」。


注4 サン食品ブックレットVol1『Okinawan Noodle』。
注5 平成14年度に総務庁が行った家計調査。