
穀物の粉を細長く加工して食べるという「文化」は、ここ半世紀の日本で著しい発達をとげました。その特異さは、中国大陸・朝鮮(韓)半島・東南アジア・シルクロードからイベリア半島までのあらゆる麺文化がごく日常的に身近かにあり、しかも現在進行形で融合し、変容し、新たな発信を続けているという事実に表われています。
「文化麺類学」は石毛直道先生の創学になるものですが、いまだ生成途上にあります。その上「麺」は、その「文化性」をもって経済・社会や他の文化に多大の影響を及ぼしつつあります。
このような時代にありながら、麺文化を享受する側・研究する側のそれぞれを報じるとともに両者を架橋する役割をになう媒体がありません。ここに「麺にかかわる情報・リポート・論文の専門誌」として、季刊『麺の世界』を世に問うものです。
うどん・中華麺などの小麦麺のみならず、そば・冷麺・ビーフン・餃子・お好み焼き・たこ焼きにいたる 「広義の麺」を、食べ物としてだけでなく、観光・町づくり・農水畜産・経営・経済・健康科学などの観点から取り上げ、研究者に発表の機会を提供するとともに、成熟した"麺好き"の知的欲求にも応えていきたいと思います。
創刊に際し「アジア麺文化研究会」のご支援をいただいていますが、広く同学の方々に開かれたメディアとして、文化麺類学界においていささかなりとも意義のある存在でありたいと念じております。
各位のご鞭撻を心から願いつつ、ご挨拶とさせていただきます。
奥山忠政
【略歴】
昭和35年(1960)神戸大学法学部卒業
総合商社社員・ホテル総支配人・大学講師を歴任
平成11年(1999)久留米大学大学院前期博士課程修了(文化経済学)
「日本うどん学会」理事 / 「アジア麺文化研究会」世話人・事務局長
【論文・著作】
「会社と向き合う個人に」(『文化と文明の視角』1999 / 東海大学出版会 所載)
「白村江比定地論攷」(『比較文化研究論集#5〜U』1999 / 久留米大学 所載)
『ラーメンの文化経済学』2000 / 芙蓉書房出版
「城市与農山漁村的新交流」(『環黄海緑色旅游研究』 2002 / 中国経済出版社 所載)
「グリーンツーリズムと地域通貨」(『グリーンツーリズム』2003 / 創成社 所載)
「尹東柱」「田内千鶴子」(『日韓の架け橋となった人びと』2003 / 明石書店 所載)
『文化麺類学・ラーメン篇』2003 / 明石書店
「The Future in Asia to be developed by Green Tourism」
(『Green Tourism for Regional Development』2005 / JICA・久留米大学 所載)